2026.10.30

コラム第60回「不動産売買の登記で「国籍」の申出が必要になった理由」

1.不動産登記で国籍等の申出が必要に
令和8年10月5日から、不動産の所有権を取得して登記を申請する際に、所有者の国籍等を申し出る制度が始まりました。
この制度は、外国籍の方だけを対象とするものではありません。日本国籍の方も対象となります。
これまで不動産登記では、主に所有者の氏名や住所などを確認していましたが、今回の制度変更により、国籍等も所有者に関する情報として把握することになりました。
では、なぜ国籍等の申出が必要になったのでしょうか。

2.国籍等を把握する目的
今回の制度の背景には、日本国内の土地や建物について、誰が所有しているのかを、より正確に把握する必要性があったことがあります。
土地は、住宅や店舗を建てる場所であるだけでなく、農地や森林、水源地など、地域の暮らしや国土の管理に関わる大切な財産です。そのため、所有者に関する情報を適切に把握することは、土地の利用状況を確認し、国土を適切に管理していくうえで重要です。
国籍等の情報を把握することで、土地の所有状況に関する情報を充実させ、行政機関による土地の利用や管理に関する施策に役立てることが期待されています。
ただし、国籍等を申し出ることによって、外国籍の方が不動産を購入できなくなったり、日本国籍の方より不利に扱われたりするという意味ではありません。国籍等の申出と、不動産を取得できるかどうかという問題は、分けて考える必要があります。

3.申告した国籍は登記簿に載るのか
「国籍を申告すると、その情報が登記簿に記載され、誰でも確認できるようになるのではないか」と心配される方もいるかもしれません。
しかし、申告した国籍等の情報は、一般に公開される登記簿には記載されません。
不動産の登記事項証明書には、所有者の氏名や住所、所有権に関する事項などが記載されています。一方、今回申し出る国籍等の情報は、一般に公開する登記事項とは別に取り扱われます。
つまり、国籍等の申出は、所有者に関する情報を行政機関が把握するためのものであり、国籍を広く一般に公表するためのものではありません。

4.不動産を購入する人への影響
不動産を購入する方にとっては、売買による所有権移転登記の手続きにおいて、国籍等の確認や申出が必要になります。
例えば、日本国籍の方がマイホームを購入する場合も、外国籍の方がマンションを購入する場合も、対象となる個人について国籍等を申し出ることになります。
国籍等を確認するための書類が必要となる場合もありますが、必要書類や具体的な確認方法は、個々の事情によって異なります。不動産の売買を予定している方は、登記を依頼する司法書士に事前に確認しておくと安心です。

5.まとめ
今回、不動産登記で国籍等の申出が必要になったのは、土地や建物の所有者に関する情報を充実させ、国土の適切な利用や管理につなげることが目的の一つです。
不動産は、個人にとって大切な財産であると同時に、社会全体にとっても重要な資産です。誰が所有しているのかを正確に把握することは、将来にわたって土地を適切に管理していくための基盤となります。
今回の変更によって登記手続きに新たな確認事項が加わりますが、国籍等の情報が一般に公開されるわけではなく、国籍だけを理由に不動産の取得が制限される制度でもありません。
不動産を購入する方にとっては、登記手続きに新たな確認事項が加わったと理解するとよいでしょう。司法書士としても、制度の目的や個人情報の取扱いを丁寧に説明し、お客様が安心して不動産取引を進められるよう対応していくことが大切だと考えております。

執筆 司法書士法人ファミリア
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