2026.09.18

コラム第57回「遺言書がデジタル化!?新しく始まる保管証書遺言」

「遺言書」と聞くと、便箋に自分の手で文章を書き、最後に名前を書いてハンコを押す――そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は2026年(令和8年)6月、遺言制度を大きく見直す法律が成立しました。今回の改正では、電子データ等を利用して作成し、法務局で保管する新しい「保管証書遺言」が創設されます。
いわば、遺言書にも「デジタル化」の波がやってきたのです。

遺言書のルールが変わります
これまで自筆証書遺言は、原則として遺言者本人が全文、日付、氏名を自書し、押印する必要がありました。
財産目録については一定の要件のもとパソコン等で作成できますが、本文は基本的に自分で書かなければなりません。財産や相続させたい人が多い場合、「全部手書きするのは大変……」と感じる方もいるでしょう。
そこで今回、遺言をより利用しやすくするため、遺言の方式が見直されることになりました。

新しい「保管証書遺言」とは?
今回の改正で特に注目したいのが、新たに創設される「保管証書遺言」です。
これは、電子データ等を利用して作成し、法務局で保管する新しい遺言方式です。
ただし、「パソコンで遺言を書いて保存しておけばOK」というわけではありません。法律で定められた方式に従い、法務局で保管するための手続を行う必要があります。
また、制度はまだ始まっていません。保管証書遺言に関する改正は、2026年6月24日の公布から3年以内の政令で定める日に施行される予定です。

遺言書の「ハンコ」も変わります
もう一つ身近な変更が、自筆証書遺言の押印です。
従来、自筆証書遺言には押印が必要でしたが、今回の改正によって押印が任意化されます。
ただし、こちらも現時点ですでに押印が不要になったわけではありません。押印の任意化等は、公布から1年以内の政令で定める日に施行されます。
施行前に自筆証書遺言を作る場合は、現在のルールに従う必要がありますので注意しましょう。

今ある遺言書保管制度とは違うの?
現在も法務局には「自筆証書遺言書保管制度」があります。
これは、自分で作成した自筆証書遺言を法務局に預ける制度です。紛失や改ざんなどのリスクを抑えられるほか、法務局で保管された遺言書については、相続開始後に家庭裁判所で「検認」を受ける必要がありません。
一方、新しく創設される保管証書遺言は、電子データ等を利用して作成できる新しい遺言方式です。
名前が似ていますので、新制度が始まった際には混同しないようにしたいところですね。

大切なのは「どう書くか」より「何を書くか」
制度が便利になることは大きなメリットですが、遺言書は「作れば安心」というものではありません。
たとえば、特定の相続人に財産を集中させれば、ほかの相続人の遺留分が問題になる場合があります。また、不動産の記載や遺言の内容が曖昧だと、せっかく遺言書を作ったのに相続手続がスムーズに進まないことも考えられます。
法務局で遺言書を保管してもらうことと、遺言の内容が自分の希望に合っていることは別の問題です。
遺言書の「書き方」が便利になっても、「何を書くのか」が大切であることに変わりはありません。
今回の改正によって、遺言書は今まで以上に身近な存在になっていくでしょう。
「自分にはどの遺言が合っている?」「家族が揉めない内容にしたい」「新しい制度について詳しく知りたい」など、遺言について気になることがありましたら、司法書士法人ファミリアまでお気軽にご相談ください。
大切な財産と想いを次の世代へきちんとつなぐために、ご自身やご家族に合った遺言を一緒に考えていきましょう。

執筆 司法書士法人ファミリア
ファミリアグループサイトはこちら
 

お知らせ 一覧へ

PAGETOP