2026.08.17

コラム第56回「夫婦で不動産を共有するメリット・デメリット」

マイホームを購入するとき、「夫婦で一緒に住宅ローンを組むから、家の名義も夫婦共有にする」というケースがあります。
夫婦で不動産を共有すること自体は、決して珍しいことではありません。しかし、共有名義にはメリットがある一方で、将来の売却や相続などの場面で思わぬ問題が生じることもあります。
今回は、夫婦で不動産を共有する場合のメリットとこれに伴う注意点について、司法書士の視点から解説します。

夫婦共有のメリット
まず考えられるメリットは、住宅購入資金の負担割合に合わせて所有権を持てることです。
例えば、夫が3,000万円、妻が2,000万円を負担して5,000万円の住宅を購入した場合、それぞれの負担割合に応じて夫5分の3、妻5分の2といった形で登記をすることが考えられます。
また、夫婦それぞれが住宅ローンを利用する場合、単独でローンを組むよりも借入可能額を増やせるケースがあります。夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象となる可能性があるなど、税制上のメリットが生じる場合もあります。
ただし、税金については住宅ローンの組み方や持分、実際の資金負担などによって扱いが変わるため、「共有にすれば必ず得」と考えるのは危険です。

一番注意したいのは「将来」の問題
夫婦共有で特に注意したいのが、離婚や相続など、将来夫婦の関係や生活状況が変わった場合です。
例えば、夫婦がそれぞれ2分の1ずつ所有している不動産を離婚後に売却したいと思っても、原則として共有者双方の協力が必要になります。
「離婚したから相手とはもう関わりたくない」と思っても、不動産が共有のままであれば、売却や処分について相手との話し合いが必要になる可能性があります。
また、夫婦の一方が亡くなった場合には、その人が所有していた持分について相続が発生します。
例えば、夫婦で2分の1ずつ所有していた住宅について夫が亡くなった場合、夫の2分の1が妻のものになるとは限りません。
自宅を妻に相続させる旨の遺言書があれば別ですがそうでない場合に夫に子どもや親、兄弟姉妹などの相続人がいれば、その人たちとの間で遺産分割協議を行い、誰がその持分2分の1を取得するかを決める必要があります。
つまり、「夫婦で共有している家だから、夫が亡くなれば妻がそのまま全部取得できる」というわけではありません。

「持分」は適当に決めない
夫婦共有で不動産を購入する際には、所有権の「持分」をどのように決めるかも重要です。
原則として、実際に誰がいくら購入資金を負担したのかと、登記する持分の割合を一致させることが重要です。
例えば、夫が3,000万円、妻が1,000万円を負担したにもかかわらず、夫婦がそれぞれ2分の1ずつの持分としてしまうと、妻が実際の負担額を超えて取得した部分について、贈与税の問題が生じる可能性があります。
「とりあえず半分ずつにしておこう」という決め方は避けたほうがよいでしょう。
共有にする前に考えておきたいこと
不動産は、一度名義を設定すると、後から変更するのは簡単ではありません。
「夫婦だから共有で当然」と考えるのではなく、
購入資金を誰がどれだけ負担するのか
住宅ローンは誰が組むのか
将来、売却する可能性はあるのか
どちらかが亡くなった場合にどうするのか
離婚などの事情が生じた場合にどうなるのか
といった点まで考えて、持分を決めることが大切です。

夫婦共有にはメリットもありますが、重要なのは「共有にすること」そのものではなく、将来のことまで考えて適切な持分を設定することです。
不動産の名義は、購入時には小さな選択に見えても、数十年後の相続や売却の場面で大きな違いを生むことがあります。
マイホームを購入する際には、住宅ローンや税金だけでなく、登記名義についても専門家に相談してから決めることをおすすめします。


執筆 司法書士法人ファミリア
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