2026.05.18

コラム第49回「住所があるのに、たどり着けない土地? ――“住所”と“地番”の意外な違い――」




私たちは普段、当たり前のように「住所」を使って生活しています。郵便物を送るとき、カーナビを設定するとき、ネット通販で荷物を頼むとき——住所が分からず困る場面は、ほとんどありません。
そのため「住所が分かれば、その土地のことも分かる」と感じている方は多いのではないでしょうか。
ところが、不動産の世界では少し事情が異なります。実は、私たちが日常的に使っている“住所”と、法務局で土地を管理するための“地番”は、別のものとして存在しています。

例えば「〇丁目〇番〇号」という住所があっても、その情報だけでは、登記上の土地を正確に特定できないことがあります。特に昔からある地域では、住所と地番がまったく違う番号になっていることも珍しくありません。
これは、日本の住所制度の歴史とも関係しています。
現在のような「住居表示」が整備される前は、多くの地域で、土地の番号である“地番”をそのまま住所として使っていました。しかし、街が発展し、建物が増えていくにつれて、地番だけでは場所が分かりづらくなっていきます。

そこで導入されたのが「住居表示」です。道路を基準に建物へ番号を付けることで、郵便や行政手続きを分かりやすくする制度が整えられていきました。
つまり現在は、
生活のための「住所」
登記のための「地番」
という二つの番号が存在しているのです。

この違いは普段の生活ではほとんど意識されません。しかし、相続や売却、建て替えなど、不動産の手続きになると初めて「住所と地番は違うんですね」と驚かれる方も少なくありません。

さらに土地が分筆されている場合は、話が少し複雑になります。ひとつの住所の中に複数の地番が含まれていたり、逆に、ひとつの地番の上に複数の建物が建っていたりすることもあります。

また、古い資料を確認していると、昔の住所表記のまま残っているケースもあります。町名変更や区画整理によって現在の住所と一致せず、「場所は分かっているのに、資料上では見つけにくい」ということも珍しくありません。
最近ではインターネット地図が便利になり、「地図を見れば何でも分かる」と感じる場面も増えました。しかし、不動産の手続きでは地図だけでは確認できない情報も多くあります。境界や面積、所有関係などは、法務局の資料や現地調査を含めて確認していく必要があります。

土地家屋調査士は、こうした“住所と地番の違い”を整理しながら、土地や建物の状況を確認する専門家です。特に相続や売却の場面では、「どの土地についての話なのか」を正確に整理することがとても重要になります。

普段何気なく使っている“住所”の裏側には、土地を管理するためのさまざまな仕組みがあります。普段は意識しないからこそ、いざという時に戸惑うことも少なくありません。

「住所が分かれば十分」と思っていた土地にも、実は登記や地番という“もう一つの顔”があります。不動産を将来に向けて整理していくうえでは、こうした仕組みを少し知っておくだけでも、大きな安心につながるかもしれません。

執筆 司法書士法人ファミリア
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