2026.03.31

コラム第46回「住所変更したら登記も必要?~義務化のポイントをやさしく解説~」


 
令和8年4月1日から、不動産をお持ちの方に関係する新しいルールが始まります。それが「住所等変更登記の義務化」です。これまであまり意識されてこなかった手続ですが、今後はすべての不動産所有者にとって重要なルールとなります。

 この制度は簡単に言うと、不動産の所有者が引っ越しや結婚などによって住所や氏名に変更があった場合、登記の内容も2年以内に変更しなければならない、というものです。法人であれば、本店移転や商号変更があった場合にも同様に変更登記が必要になります。

 従来、住所や氏名の変更登記は義務ではなく、手続をしなくても特に罰則はありませんでした。そのため、実際には多くの不動産で登記簿が更新されないまま放置されてきたのが実情です。しかしその結果、登記簿を確認しても所有者の住所が古く、連絡が取れないといったケースが増加しています。いわゆる「所有者不明土地」と呼ばれる問題です。

 このような土地が増えると、売買や相続といった取引がスムーズに進まないだけでなく、適切な管理が行われず、周辺環境の悪化や災害リスクの増大につながるおそれもあります。また、公共事業の用地取得が進まないなど、社会全体にも影響が及びます。こうした背景から、登記情報を常に最新の状態に保つことを目的として、住所等変更登記の義務化が導入されました。

 制度の内容自体は比較的シンプルです。住所や氏名に変更があった場合には、その変更日から2年以内に登記を変更する必要があります。これを正当な理由なく怠った場合には、5万円以下の過料が科される可能性があります。日常生活の中で見落としがちな手続ですが、今後は法的な義務として意識しておく必要があります。

 なお、このルールは令和8年4月1日以降に生じた変更だけでなく、それ以前に住所や氏名の変更があったにもかかわらず、登記がされていないケースにも適用されます。この場合は、経過措置として令和10年3月31日までに変更登記を行う必要があります。過去の変更についても対象になる点には注意が必要です。

 また、手続の負担を軽減するために「スマート変更登記」という仕組みも用意されています。これは、あらかじめ簡単な申出をしておくことで、その後に住所変更があった場合、法務局が住基ネット情報等をもとに職権で登記を更新してくれる制度です。頻繁に引っ越しをする方や手続が不安な方にとっては、活用しやすい仕組みといえるでしょう。

 もっとも、義務違反があった場合でも、直ちに過料が科されるわけではありません。実務上は、登記官が未登記の状態を把握した後、まずは一定期間内に手続を行うよう促す「催告」がなされ、それでも対応しない場合に初めて過料の対象となります。また、病気や経済的困難など、やむを得ない事情がある場合には「正当な理由」として考慮される余地もあります。

 今回の制度は、不動産の権利関係を明確にし、社会全体の円滑な取引や適正な管理につなげるための重要な改正です。内容自体は難しいものではありませんが、「知らなかった」では済まされないルールでもあります。住所や氏名に変更があった際には早めに対応することを心がけ、安心して不動産を保有・活用できるようにしていきましょう。


執筆 司法書士法人ファミリア
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