2026.01.21

コラム第41回「認知症になる前と後で違う?成年後見と家族信託の決定的な差」


 
 親が高齢になってくると、「もし認知症になったらどうしよう」という不安を感じる方は多いのではないでしょうか。特に不動産などの財産を持っている場合、「成年後見」や「家族信託」という言葉を目にすることも増えてきます。ただ、名前は聞いたことがあっても、何がどう違うのかまでは分かりにくいですよね。
今回は、認知症になる前と後で選べる制度の違いに注目しながら、成年後見制度と家族信託の決定的な差を分かりやすく解説します。

 成年後見制度とは?
 成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分になった方を守るための制度です。家庭裁判所が関与し、本人の判断能力の程度に応じて後見人・保佐人・補助人が選任されます。
後見人は、本人に代わって財産管理や契約行為を行いますが、その目的はあくまで「本人の保護」です。そのため、裁判所への報告義務があり、不動産の売却なども自由にできるわけではありません。安全性が高い一方で、柔軟な運用はしにくい制度といえます。

 家族信託とは?
 家族信託は、本人が元気で判断能力があるうちに、信頼できる家族などに財産の管理や処分を任せる仕組みです。
あらかじめ信託契約を結ぶことで、将来認知症になったとしても、契約を結んだ家族が、契約内容に沿って不動産の管理や売却を行うことができます。裁判所の関与がなく、本人の意思を細かく反映できる点が大きな特徴です。特に不動産を含む資産管理との相性が良い制度です。

 成年後見と家族信託の決定的な違い
 両制度の違いを整理すると、次のようになります。
・使えるタイミング
 成年後見制度は、すでに判断能力が低下した「認知症の後」に使う制度です。
 家族信託は、判断能力がある「認知症になる前」にしか利用できません。
・裁判所の関与
 成年後見制度は家庭裁判所が関与し、後見人の行動を監督します。
 家族信託は裁判所の関与がなく、契約内容に基づいて家族が管理します。
・柔軟性
 成年後見制度は本人保護が最優先のため、財産運用の自由度は低めです。
 家族信託は契約次第で柔軟な財産管理が可能です。
・費用の考え方
 成年後見制度は、毎月2万円から6万円といった後見人への報酬など継続的な費用がかかることがあります。
 家族信託は、契約時の初期費用が中心になります。

 どんな人にどちらが向いている?
 成年後見制度が向いているのは、すでに認知症が進行しており、本人による判断が難しい場合です。また、家族間で意見が対立している場合や、第三者による監督が必要なケースにも適しています。
 一方、家族信託が向いているのは、今は元気だけれど将来が心配な方や、不動産の管理・売却をスムーズに行いたい方です。「認知症になる前にできる対策」として選ばれることが多い制度です。
 実務では、家族信託で備えた後、状況に応じて成年後見制度を利用するなど、両制度を組み合わせて考えるケースも少なくありません。

 よくある誤解と注意点
 家族信託は万能な制度ではありません。税金や相続の問題は別途検討が必要です。
 また、成年後見制度は「使うと大変」というイメージを持たれがちですが、本人を守るための重要な制度です。
 一番多い後悔は、「もっと早く相談していれば選択肢があったのに」という声です。

 まとめ
 成年後見制度と家族信託の大きな違いは、「認知症になる前か後か」というタイミングにあります。どちらが良い・悪いではなく、ご家族の状況に合った制度を選ぶことが大切です。
 少しでも不安を感じたら、早めに専門家へ相談することが、将来の安心につながります。司法書士法人ファミリアでは、ご家族の状況に応じた最適なご提案を行っています。お気軽にご相談ください。


執筆 司法書士法人ファミリア
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