2026.01.05
コラム第40回「その境界、本当に合っていますか?」

ご自身の土地について、「境界がどこか」を正確に説明できますか。
そう聞かれて、少し不安になる方は決して少なくありません。
土地について相談を受けていると、よくこんな言葉を耳にします。
「昔からここが境界だと思っていました」。
ところが、そう思っていた場所と、実際の境界が一致していないことは珍しくないのが現実です。
意外に思われるかもしれませんが、登記簿に記載されている土地の面積は、現在の測量で測った広さと完全に一致しないことがあります。これは記載ミスではなく、土地が登記された当時の測量方法が、今ほど正確ではなかったことによるものです。面積が書いてあるからといって、境界まで正確に決まっているとは限らないのです。
境界が分かりにくい理由の一つは、その決め方にあります。今のような測量機器がなかった時代、境界は石や木杭を打ったり、「この木からあの石まで」といった形で決められることが多くありました。そうした目印は、年月とともに失われたり、道路工事や外構工事、災害などで動いてしまうこともあります。現地には何も残っていないのに、人の記憶だけが残っているというケースも少なくありません。
実際によくある相談として、こんなものがあります。
「家を建て替えようとしたら、境界がはっきりしないと言われた」というものです。長年住み慣れた土地で、特に問題もなかったため、境界について深く考えたことがなかったそうです。しかし、建築の段階で改めて確認が必要となり、そこで初めて境界があいまいな状態だと分かりました。結果として、工事の予定を見直すことになり、「もっと早く確認しておけばよかった」と話されていました。
境界は、普段の生活の中では意識されにくい存在です。土地を使っているだけで困ることはほとんどありません。そのため、売却や相続、建て替えといった節目になって初めて、境界の不明確さが表に出てくることが多いのです。
もう一つ、現場で感じることがあります。隣の土地の所有者が変わると、それまで問題にならなかった境界が話題になることです。以前は暗黙の了解で成り立っていた関係でも、新しい所有者にとっては「一度きちんと確認しておきたいこと」になります。そうしたきっかけで、境界のあいまいさが浮き彫りになることもあります。
境界を確認すると聞くと、隣地との関係が悪くなるのではと心配される方もいます。しかし、実際には事前に整理しておくことで、後々の誤解やトラブルを防げる場合がほとんどです。はっきりさせることは、争うためではなく、安心して土地を使うための準備だと言えるでしょう。
土地家屋調査士は、土地の境界や建物の状況を、資料と現地の両方から確認し、分かりにくい状態を整理する専門家です。難しい言葉で説明するよりも、状況を「見える形」にすることを大切にしています。
土地は動かすことができませんが、状況は整えることができます。
この文章が、ご自身の土地について一度立ち止まって考える、そんなきっかけになれば幸いです。
執筆 土地家屋調査士法人ファミリア
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