2025.12.18

コラム第39回「未登記のまま放置される建物ー売れない・壊せない不動産になる前に 未登記建物が抱えるリスクと、今からできる基本対策-」



 まず、「未登記」とは何かを簡単にご説明します。登記とは、不動産の所在地や面積、所有者などを法務局に記録する制度のことです。建物が「未登記」という状態は、建物が存在していても法務局の帳簿には載っておらず、“公に所有者が確認できない状態”を指します。初めて聞く方には少し分かりにくい言葉かもしれませんが、未登記の建物は後々さまざまな問題の原因になり得ます。

 実際に相談に来られる方の中には、「祖父母が建てた古い建物が未登記だった」「相続が続き、誰も状況を把握していないまま放置されていた」といったケースが少なくありません。普段は問題が表面化しないため、不安を抱えつつもそのままにしてしまう方も多いようです。まずは「自分の家も同じ状況かもしれない」と感じたら、抱え込まず、状況を整理するところから始めてみてください。

 未登記のまま建物を放置すると、主に次のようなリスクがあります。

◎売却できない
 登記簿に建物の情報がないため、買主側の金融機関が融資を出せず、売却が成立しないことがあります。

◎解体が進まない
 解体業者が所有者を確認できないため、手続きが滞り、自治体の補助金が利用できない場合もあります。

◎相続手続きが複雑になる
 建物の所有者を証明する必要があり、相続手続きに時間や労力がかかります。

◎トラブルの火種になる
 放置期間が長くなるほど、関係者の認識違いや意見の対立が起きやすくなります。

 たとえば、あるご家庭では、亡くなった祖父の建物が未登記で放置されていたため、相続人全員の同意を取るだけでも数か月かかってしまったことがあります。登記があれば手続きはスムーズに進むはずでしたが、未登記のままだったために、解体や売却もすぐには進められませんでした。このような事例は決して珍しくありません。

 未登記と聞くと「大ごとになりそう」と感じる方もいるかもしれません。しかし安心してください。土地家屋調査士は、建物の現地確認や必要書類の収集、図面作成、表題登記申請まで、専門的にサポートできます。相続が絡む場合も、家族関係や権利状態の整理からお手伝い可能です。日常的に多く寄せられるご相談ですので、特別なことではありません。

 未登記建物は、放置すればするほど

 ・関係者が増える

 ・書類が見つからなくなる

 ・売却や解体の負担が大きくなる

 という状況になりがちです。逆に、“思い立った「今」”が最もシンプルに対応できるタイミングです。「本当に登記が必要なのか」「相続関係が複雑で心配」「とりあえず状況だけ確認したい」といった相談も問題ありません。専門家に相談すれば、必要な手続きを整理し、無理のない方法で進められます。一人で悩まず、まずは現状確認から始めてみてください。小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。
 

執筆 土地家屋調査士法人ファミリア
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