2025.11.30
コラム第38回「AIとドローンが変える空き家調査 ――これからの土地家屋調査士の現場――」

人口減少や高齢化が進む中、空き家が増え続けていることは、多くの方が何となく実感しているのではないでしょうか。「相続した家がそのままになっている」「遠方に住んでいて管理が難しい」——そんなご相談を受ける機会も年々増えてきました。空き家は放置してしまうと、老朽化による倒壊リスクや、庭木の越境、近隣への影響など、さまざまな不安の種になってしまいます。
ただ、空き家の問題は“管理の問題”だけではありません。その裏側には、境界が分からないまま相続が進んでしまったり、登記が古くて手続きが滞っていたりする法的な課題が潜んでいることが多くあります。土地家屋調査士として現場に立つと、この部分が整っていないせいで動かせなくなっている不動産の多さを実感します。
最近では、こうした状況を改善するために、AIやドローンといった新しい技術が測量や調査の現場へ広く導入されつつあります。ドローンを使えば、上空から土地全体を撮影でき、境界付近の状況や敷地の高低差を短時間で把握できます。人が入りにくい場所や危険な場所でも、安全に状況を確認できるのは大きなメリットです。
さらにAIを活用すると、撮影データをもとに地形を自動で分析したり、過去の画像と比較して変化を検知したりと、正確性の高い調査が可能になってきました。
もちろん、こうした技術がどれほど進化しても、最後に判断を下すのは“人”です。機械が示すデータをもとに、現地を確認し、法律や実務の知識を踏まえて最適な方法を考える——これは、土地家屋調査士の大切な役割です。
測量機器が進化しても、AIが高度になっても、「不動産を動かすための根本的な判断」は、やはり専門家にしかできない部分が残ります。
空き家の相談を受けて感じるのは、多くの方が「どこから手をつけていいか分からない」という不安を抱えていることです。相続登記、境界の確認、未登記建物の整理……どれも普段は意識することのない手続きばかりで、ひとりで抱えるには重たい問題です。
ですが、どうか悩みすぎないでください。不動産の状態を整える仕事は、まさに私たち土地家屋調査士が日々向き合っている分野です。測量や登記の整理が進めば、売却・解体・利活用など、次の選択肢が自然と見えてきます。
また近年では、空き家を「放置しない形で家族へ受け継ぐ」ための方法として家族信託を活用される方も増えてきました。将来の認知症リスクや相続トラブルを見据えて、不動産を誰がどのように管理するかをあらかじめ決めておくことで、空き家化を未然に防ぐことができます。家族信託と測量・登記は密接に関係するため、土地家屋調査士としても信託手続きに必要な調査・登記のサポートを行っています。
空き家の問題は「家の老朽化」だけでなく、「その家をどう受け継ぎ、どう守るか」という、暮らしの未来に関わる問題です。AIやドローンといった技術が進歩しても、そこに寄り添うのは人です。
不動産の手続きには専門的な用語や複雑な法制度がつきものですが、専門家に相談していただければ、必要なことをひとつずつ整理し、最適な道筋をご提案できます。
もし今、空き家や相続した不動産について少しでも気がかりなことがあるなら、「こんなこと相談していいのかな」という内容でも構いません。測量・登記・家族信託——これらは、皆さまの不動産がきちんと未来へ受け継がれていくための大切な基盤です。
私たちは、これからも技術と専門知識を生かしながら、皆さまの不動産にまつわる不安を少しでも軽くできるよう、寄り添ったサポートを続けていきたいと考えています。是非お気軽にご相談ください。
執筆 土地家屋調査士法人ファミリア
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