2025.09.19

コラム第33回「遺言がないと相続はどうなる?起こりやすいトラブルと回避の方法」



 「うちは家族仲が良いから大丈夫」「財産もそんなに多くないから問題ない」――そう思って遺言を用意しないままにしていませんか?
 実際には、遺言がないことで相続手続きがスムーズに進まず、思わぬトラブルに発展するケースが少なくありません。今回は、遺言がない場合にどんな問題が起きやすいのかを解説します。
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 遺言がないと相続はどう進むのか
 法定相続分に基づいた遺産分割協議
 遺言がなければ、遺産は民法で定められた法定相続分を目安に分けることになります。ただし、自動的に分けられるのではなく、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。預貯金や不動産などの分けにくい財産は特に話し合いが難航しやすく、相続手続きが止まってしまうこともあります。

 相続人全員の合意が必要
 遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。一人でも署名・押印をしなければ無効となり、相続登記や預貯金の解約ができません。行方不明の相続人がいる場合や、感情的な対立がある場合は、話し合い自体が進まなくなることもあります。
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 遺言がない場合に起こりやすいトラブル
 遺産分割協議がまとまらず長期化
 協議がまとまらず、家庭裁判所での調停や審判に発展するケースがあります。手続きが長期化すると、時間と費用がかかるだけでなく、相続人同士の関係も悪化してしまいます。

 不動産の共有名義によるトラブル
 不動産が共有名義になったまま放置されると、売却や活用の際に全員の同意が必要になります。維持管理や固定資産税の負担を巡って対立することも少なくありません。

 兄弟姉妹間の感情的対立
 「介護をしたのに取り分が少ない」「生活状況に差があるのに平等に分けるのは不公平だ」といった不満が生まれやすく、兄弟姉妹の仲が壊れてしまうこともあります。

 家庭裁判所での調停・審判
 最終的に合意ができなければ、家庭裁判所での調停・審判に移ります。法律上の解決は可能ですが、家族関係の修復は難しくなるのが実情です。
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 遺言があれば防げること
・相続人の負担を軽減
 遺言があれば、相続手続きがスムーズに進み、余計な協議を避けられます。
・希望通りの財産承継が可能
 介護をした子どもに多めに分けたい、不動産は長男に、預貯金は長女に――そんな希望を反映できます。
・家族関係の維持
 被相続人の意思が明確になることで、相続人間の不公平感や誤解が減り、関係悪化を防ぐことにつながります。
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 まとめ ~「うちは大丈夫」と思う前に準備を~
 遺言がない相続では、
・協議の長期化
・不動産の処理問題
・感情的な対立
・家庭裁判所での調停・審判
 といったトラブルが起こりやすくなります。
 一方、公正証書遺言など法律的に有効な形で遺言を残しておけば、多くの問題を未然に防ぎ、家族の安心を守ることができます。
 相続の準備は、早めに司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。

執筆 司法書士法人ファミリア
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