2025.08.20
コラム第31回「おひとりさまの終活の備え ~ひとりでも、最期まで私らしく~」

「もしもの時、誰が助けてくれるんだろう?」
家族と同居していない、子どもがいない、頼れる親族が近くにいない。
そんなおひとりさまにとって、老後や最期の不安はとても現実的です。
でも今は、ひとりでも自分らしく生き抜くための終活の仕組みが整ってきています。
今回は、その中でも知っておきたい5つの備えをご紹介していきます。
元気なうちに備えておくことで、未来がぐっと明るく見えてくるはずです。
1. 見守り契約
ひとり暮らしでも見守られている安心感を。
高齢になると、誰かに気にかけてもらうことが何よりの安心感につながります。
「何日も誰とも話していない」「倒れても気づかれないかも…」そんな不安は、見守り契約で解消できます。
この契約では、司法書士などの専門家が定期的に電話や訪問をして、生活状況を確認してくれます。そして、必要に応じて、次の任意後見契約につなげることもできます。
2. 任意後見契約
将来、判断能力が落ちたときに頼れる人を「今」決めておく。
認知症などで判断能力がなくなると、自分で契約や施設への入所手続きなどができなくなります。
また、預金も引き出せなくなるので生活にも困ることになります。
そんな時、信頼できる専門家にお金の管理等をお願いしておくための契約が、任意後見契約です。
「誰に任せるか」「何を頼むか」は元気なうちに決められ、いざというときに家庭裁判所が後見人としてその人を正式に認めてくれます。
将来に備えつつ、自分の意思で未来のパートナーを選べる心強い制度です。
3.身元保証契約
入院・施設入所時に頼れる「後ろ盾」を確保。
病院や高齢者施設に入るとき、多くのケースで「身元保証人」を要求されます。
おひとりさまにとっては、この壁がとても高いのです。
そこで頼れるのが身元保証契約です。
専門家や専門機関が、入院・入居の際の保証人となり、必要な書類対応や連絡も担ってくれます。
4. 尊厳死宣言
望まない延命はしない、という意思表示。
もしも意識がなくなり、回復の見込みもなくなったとき、「延命措置はしてほしくない」。
そう考える方は多くいても、実際に家族に伝えられなかったり、医師が判断に迷ったりするケースもあります。
尊厳死宣言は、自分の意思を文書で明確に残す仕組みです。
医療関係者に、「この人は最期を自然に迎えたいと思っていた」と伝えることができます。
人生の最期も自分で決める。
それが尊厳ある終活の第一歩です。
5. 死後事務委任契約
死後の手続きを、きちんとお願いしておく。
亡くなった後には、葬儀、役所への届け出、公共料金の解約、住居の整理など多くの事務手続きが待っています。
死後事務委任契約では、自分が亡くなった後に必要な事務手続きを専門家に託すことができます。
葬儀のスタイルや納骨先なども事前に指定することができます。
自分の希望を実現しつつ、周囲への負担も最小限に抑えることができるのです。
最後に:おひとりさまでも、最後まで自分らしく
終活とは、死の準備ではありません。
これからを安心して生きるための前向きな準備です。
「誰にも迷惑をかけたくない」
「自分の希望をしっかり伝えておきたい」
そう願うおひとりさまにとって、これらの備えは大きな味方になります。
専門家に相談することで、自分に合った方法がきっと見つかります。
執筆 司法書士法人ファミリア
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