2025.06.30

コラム第28回「建物を新築したら登記も忘れずに 〜建物表題登記の基礎と2025年の最新動向〜」



 2025年現在、日本の不動産登記制度は大きな転換期を迎えています。特に、2024年4月に施行された相続登記の義務化や、空き家対策特別措置法の改正により、建物の登記に対する社会的関心が高まっています。
 こうした中で、建物を新築した際に最初に行う「建物表題登記」は、資産管理と法的安定性を確保するための手続きとして、ますます重要性を増しています。

 建物表題登記とは、建物の構造や床面積、所在地などの物理的情報を登記簿に初めて記載する手続きです。これにより、建物が法的に「存在するもの」として認められ、以後の所有権保存登記や抵当権設定登記が可能になります。
 不動産登記法では、建物の所有権を取得した者は、取得日から1ヶ月以内に表題登記を申請する義務があると定められており、怠ると過料の対象となる可能性もあります。

 申請には、建築確認済証や建物図面、住民票、現地調査結果などが必要で、これらをもとに土地家屋調査士が登記申請書を作成し、法務局に提出します。土地家屋調査士は、表題登記の代理申請が認められている唯一の専門家であり、測量や図面作成、現地調査などを通じて、正確かつ迅速な登記を行ないます。
 実際の現場では、表題登記が未了のために住宅ローンの審査が通らなかったり、相続した建物が未登記であるために名義変更ができなかったりといったトラブルが少なくありません。また、解体後に滅失登記を行っていなかったために、固定資産税が課税され続けるケースもあります。

 2024年から義務化された相続登記では、相続人は不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を行う必要がありますが、未登記の建物については、まず表題登記を行わなければ相続登記ができません。つまり、未登記建物を相続した場合、土地家屋調査士による表題登記が前提となります。

 さらに、空き家対策特措法の改正により、「管理不全空き家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が解除されるなど、経済的な負担が増す可能性があります。特に名古屋・愛知・三重エリアでは、戦後に建てられた木造住宅や農家住宅の未登記率が高く、空き家問題や相続トラブルの温床となっているケースが多く見受けられます。

 建物表題登記は、専門的な知識と経験が求められるため、土地家屋調査士に依頼するのが最も確実です。
 登記を通じて法的な裏付けを整えることは、資産を守り、安心して承継していくための大切な一歩です。

 執筆 土地家屋調査士法人ファミリア
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