2025.03.19

コラム第21回「遺言書を遺した方がいい人はどんな人?」



 令和6年度より相続登記の義務化がスタートしました。お客様とのお話の中でも、亡くなった方が所有する不動産の名義変更のご相談をよく頂きます。通常、不動産の名義の変更には、相続人様の間で話し合いをしていただき、誰がその不動産を引き継ぐのかを決めていただいた上で名義変更の登記をします。
 相続は、法定相続分というものが定められています。例えば相続人が亡くなった方のお子様お二人のみである場合ですと、各々二分の一ずつという具合です。
 ただ、不動産の共有状態は一般的に好ましくないことも多く、どなたかお一人がそれを引き継ぐということも多いです。その際は、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をした上で、名義書き換えを行います。
 もちろん相続人全員での協議が容易であればそれで問題なく財産の引継ぎを行うことができます。ただ、そういうお客様ばかりでなく、例えば相続人同士の仲が険悪な場合など、遺産分割協議が容易でない場合もあります。
 そのような場合はどうすればいいのでしょうか。いざ相続が始まった後に対策を取るのは一筋縄ではいきません。被相続人の方が生前に対策を取っておくのが一つの方策となります。

 ではどのような方策があるでしょうか。一般的かつ効果的な方法としては遺言書を遺すという方法があります。
 改めて、遺言書とは、被相続人が財産をどう分けたいのか、その意思を記したものです。
 相続の手続きは基本この遺言書に則って行われるため、遺産分割協議をした上での相続手続き、ということが基本必要なくなります。
 私共士業としては、円滑な財産の引継ぎのため、お客様にご遺言を遺すことをお勧めさせていただいておりますが、もちろん全員が全員遺言書を書かなければならない、というわけではありません。ただ、先ほど書いた通り遺言書がなければ基本遺産分割協議が必要なため、特に下記に該当する方には遺言書の作成を前向きに考えていただければと思います。

①相続人同士の仲が悪いケース
 仲のいいご家族であれば問題ないのですが、そもそも相続人同士の仲が悪い場合。遺産分割協議が難航することが予想されますので、あらかじめ遺言書を作成されることをお勧めします。また、本当は望ましいことではないのですが、いざ遺産分割の現場になって、争いが表面化するケースも多いです。例えば、相続人の配偶者が色々と言葉を挟んでくることもよくありますので、そういったケースが想定される場合は、遺言書を遺しておくことで、相続人同士の争いを防ぐことにつながることもあるでしょう。

②相続人以外の人に財産を遺したいケース
 相続人という立場は、法律によって定められています。逆に言えば、相続人に該当しない人は相続の当事者とはなりません。そのため、相続人以外に財産を遺したい場合は、別途遺言書でその旨を書いておくことが必要です。遺言書に書いておくことで、被相続人の特別な意思が記載されるので、法律上相続人でない方についても、財産を引き継ぐことができます。

③不動産を多くお持ちのケース
 相続の現場において、主に金融資産と不動産が遺産分割の対象となりますが、分けることがイメージしやすい金銭と比べて、不動産はその価値、管理が計りづらい部分があり、遺産分割協議が難航することがよくあります。特に、不動産を多数お持ちの場合は、その傾向が顕著となります。そこで、不動産ごとに引き継ぐ方を記載しておくことで、スムーズな財産の引継ぎが可能となります。

 上記の例はあくまで一例ですが、遺言は亡くなる方の大切な思いを遺すことができるとともに、相続人の方にとってもとても有難いものとなります。ご検討の一助となれば幸いです。

執筆 司法書士法人ファミリア
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