2025.02.21
コラム第19回「不動産登記は何のためにあるのでしょうか?」

いきなり質問です。
不動産登記制度は何のために存在するのでしょうか。
答えは。(その前提として権利に関する登記については、一部例外を除き(相続登記)、登記するかしないかは各個人の任意となっております。)
私たちの大切な財産である土地や建物の所在や面積のほか、所有者の住所・氏名などを登記簿に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにして、取引の安全と円滑をはかる役割を果たすためです。結果的にご自身の権利が守られることになります。どういうことかと言いますと、例えば、あなたが新築注文住宅を購入したとします。その際にご自身の氏名・住所で所有権の登記をしておけば、この建物・土地は、『私のもの』です。と公に主張することができる。
更に言えば、ご自身が購入した不動産の所有権を守りたいのであれば忘れずに登記をしてください。ということです。
日本においては、今から約140年前(司法書士の元祖は、なんと約150年前に誕生しています)にこの権利に関する登記は始まります。その後、何度かの改正などがあり現在の不動産登記制度になってます。余談ですが、さらに歴史を辿ると土地の所有については、1.農地の所有者は自らその土地で耕作する者とする、2.目的外の使用禁止、3.売買禁止等々の縛りはありますが、「太閤検地」まで遡ることができます。江戸時代には、「沽券」といわれる証書も発行されていました(現在の権利証のようなもの)。
目を外に向けてみますと、当然、世界各国にも同様の制度が存在します。その内容は国によって異なるようです。
韓国や台湾では、日本と同じように土地と建物は個別の不動産として登記することができます。
ドイツ、フランス、イギリス、アメリカやオーストラリア等の欧米諸国では、建物は土地の附合物(不動産に従として附合した物のこと(例えば、取り外しが困難な庭石。欧米では高層ビルも庭石と同じ扱い!)とされており、建物のみの取引や登記は行うことはできません。
ちなみに日本は、フランスの登記制度にならって制定されました。
また、個人が所有権を取得できない国もあります。
よく知られているところでいいますと、中国では、土地のすべてを国家または農民が集団で所有しており、国民が購入できるのはあくまでも建物とその土地の「使用権」のみとなっております。
このように最強の権利である「所有権」を守るために世界中に登記制度が存在しているのです。
ということで、皆さん!是非ともご自身の大切な財産である不動産の権利を一所懸命に守るために不動産登記制度にご理解とご協力をお願いいたします。
執筆 司法書士法人ファミリア
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