2025.01.31
コラム第18回「海外旅行時にパスポートを紛失したら」

以前、弊社にて登記をさせていただいたお客様よりこんなお問い合わせがありました。
「知人が海外旅行中にパスポートを紛失しました。現地の大使館に行ったら、本人の戸籍を司法書士などに依頼して取得してもらってくださいと言われたそうです。お願いできますか?」
実際に大使館の方が司法書士に依頼してくださいと言ったかどうかは定かではないですが、このように言われたそうです。
本題に入る前に、海外でパスポートの盗難などで紛失をしてしまった場合は、どうすればよいのでしょうか?外務省のホームページによると、現地の大使館又は領事館に行き、必要書類を提出すれば新たなパスポート(又は帰国のための渡航書)の取得ができるそうです。そのために必要な書類の中に、6か月以内発行の戸籍が必要になっています。もちろん、戸籍は日本でしか発行ができないので、外務省も万が一のために備えて、戸籍を持って海外へ行くことを推奨しています。
本題に戻ります。戸籍の取得については、パスポートを紛失した方のご家族やお電話いただいている方が代理で取得されるほうが早いというのが私どもの回答になります。
司法書士は、相続登記といった登記の通常業務を行う中で、お客様のご依頼を受けて、戸籍や住民票などを市役所から取得することは多いです。この場合、業務に付随し、必要があるときに限られています。その他の目的で戸籍等の資料を取り寄せるには、委任状による請求の方法になります。この場合、お客様に署名と押印をいただいた委任状を窓口に提出し、委任を受けている旨を伝え、取得するというものです。こちらについては、士業の専門家だけでなくとも、誰でも、本人から委任を受ければ、取得が可能な方法になります。なので、司法書士に依頼をするよりも、電話をかけてきたいただいた方が委任状を持って、窓口に行く方が早いというところです。
窓口に行くのがご家族の方ですと、よりスムーズです。配偶者または直系親族(祖父母、親、子、孫など)は、委任状なしで戸籍を取得できます。委任状取得の場合、ほとんどの市町村で委任状の原本が必要になるので、郵送などの形で海外から送ってもらう必要があり、時間がかかってしまうのがネックです。また、家族の取得だとさらに良いことに、どこの市町村の窓口でも請求ができる「広域交付の制度」があります。わざわざ本籍地のある市町村へ行く必要はなく、より手軽に取得が可能になっています。
そういうこともあり、お電話いただいた方には、そのようにお話しさせていただきました。
ただ、一番なのは、パスポートをなくさずに、しっかりと海外旅行を楽しんで、帰国できることだと思いますので、安全第一で海外旅行に行っていただければと思います。何か起こった際は、大使館や各市町村により対応が異なる場合があるので、事前に確認してからご対応されるほうがよろしいかと思います。
執筆 司法書士法人ファミリア
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