2024.11.19
コラム第13回「所有権移転登記に必要な書類なぜ必要?」
大谷翔平選手が念願であったワールドシリーズチャンピオンのタイトルをロサンゼルス・ドジャース移籍1年目で見事獲得しました。さらには、前人未到の50本塁打・50盗塁も達成し、これから彼はどこへ向かっていくのか楽しみです。
話を戻します。まずは、民法第555条から「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定します。
簡単に言えば、「売ります。」「買います。」の口約束だけで売買が成立することに条文上はなっています。しかし、これだけでは売主様から見れば売買代金が支払われないうちに所有権を失うことになりますし、買主様から見れば本当に自分が所有権を取得したのか確認することができません。そこで一般的には、売買契約書を作成し、「売主が売買代金を受領したときに所有権が移転する。」旨の特約を記載することで売主様は安心して売却することができますし、登記制度を利用することで買主様は目に見える形で所有権を確認することができます(当然に登記すれば第三者にも私が所有者です。と主張できます)。
【決済当日の話】
売買の決済の場で売主様と買主様に司法書士から事前に案内があった必要書類の提示を求められます。内容としましては、売主様に対しては「登記識別情報或いは登記済証・印鑑証明書・評価証明書・本人確認書類」、買主様に対しては「住民票・本人確認書類」になるかと思います。
本人確認書類以外は、法務局に提出する所有権移転登記の申請書に添付するために必要なのですが、では何のために添付するのでしょうか。
まずは登記義務者から。
1.登記識別情報、登記済証
この書類に関しては通常、登記義務者(売買の場合は売主様)しか持っていないものです。その書類を持っているということは売主本人であり、これをもって売主様の登記申請意思が確認されることになります。
2.印鑑証明書
登記義務者(売主様)が司法書士の用意した登記委任状に押印した印影と当該印鑑証明書とを照合することにより登記義務者に申請意思があることを確認するために添付します。
つまりは、上記2つの書類を添付することで所有権を失うことになる売主様の申請意思を二重に担保することになります。
3.評価証明書
登記申請の際に納める登録免許税算出の根拠書面になります。
通常、この他にも登記原因証明情報(売買契約書等を基に司法書士が登記用に作成することが多いです)も添付書類になります。
続きまして、登記権利者についてです。
1.住民票
新たに所有権を取得される登記権利者(売買の場合は買主様)の実在性を証明するためと間違った住所で登記することを防ぐために添付します。もし、住民票が不要だったとしたら、好きな住所で好きな名前で登記できることになってしまいます。僕も私も大谷翔平になってしまうことを防ぐためです。
そのほか、買主様がご融資を金融機関から受けられる場合は、買主様の印鑑証明書等も必要になりますが、ここでは割愛します。
最後に登記義務者・登記権利者共通の書類について。
1.本人確認書類
目の前にいらっしゃる方が売主様、買主様ご本人に間違いないかを運転免許証等、公的書面で確認します。
以上の書類が揃ったことを確認したのち、安心して売買代金・所有権等を実際に動かすことになります。
来季、我らの中日ドラゴンズはどうなることでしょうか。
執筆 司法書士法人ファミリア
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