2024.07.18
コラム第5回「戸籍を簡単にとれるようになりました」
相続登記の義務化
みなさんもご存じのように、今年4月から、日本において相続登記が義務化されました。今までは、相続が起こっても、色々な事情があったりで、相続登記が放置されることが多くありました。
私たちも、日々多くのお客様のご相談にのらせていただいている関係で、祖父祖母名義のままで止まっている登記簿をよくお目にします。(もっと昔の世代で止まってることも多々ありますが笑)
最近では、相続登記がしっかりとされていないことが、空き家問題などの一つの原因ともいわれています。この法改正により、不動産の所有者が明確になり、放置されたままの空き家や土地が減少することが期待されています。
どこでも戸籍を取得できるように
相続登記には、亡くなった方の生まれたときから、亡くなるときまでの一生分の戸籍が必要です。この相続登記義務化を見据えて、今年の3月からは「戸籍の広域交付」という制度が開始されました。相続登記の義務化と違って、この制度が始まったことを知っている人は多くないと思います。
戸籍の広域交付って?
今までは、本籍地(戸籍を置く場所)の市町村でしか戸籍をとることができませんでした。なので、生前に、引越しなどで、本籍地を転々としている方が亡くなると、相続人(遺族)は亡くなった方が転々とした市町村で戸籍取得し、追っていかなければなりませんでした。これが、簡単にできるようになったのです。
どのように変わったかというと、2024年3月からは、どこの市町村でも、どこの戸籍をも取得が可能になりました。具体的には、配偶者と直系血族(おじいちゃん、おばあちゃん、親子、孫の関係など、縦の関係)の戸籍が取得可能になりました。縦の関係なので、兄弟姉妹の戸籍は取得できません。また、本人のみが取得できるので、代理人(委任を受けた士業など)は利用ができません。ただ、本人が親などの戸籍を取る分には大幅に便利になったので、相続手続きの書類の取得が迅速に行えるようになるはずです。
実際に私の祖父の戸籍を取得
私も、お客様にご説明する都合上、どのような制度なのか知りたく、実際に祖父の戸籍を広域交付で取得してみました。
私の祖父の生まれは、長崎で、現在は、愛知県に本籍地を置いています。愛知県でも市町村を転々としているので、生まれから現在までの戸籍を取得すると合計に9式になりました。3月より前ですと、愛知県内でもそれぞれの市町村へ行き(もちろん、郵送請求という手もありますが)、戸籍を取得し、最後は長崎に行かなくてはなりません。その点を考えると、だいぶ手間が減ります。
私が試してみたのは、4月某日、名古屋市の区役所でした。この日は4月に入って間もない頃だったで、区役所は、転居関係の方で混雑しておりました。
区役所に行き、広域交付を利用したい旨を係りの方に伝えると、皆、口そろえて、時間かかりますよと、言ってくれました。私も結構時間がかかるかなと思い、区役所に向かったので、1時間少ししてから、呼ばれたときには、結構短い時間でとれるものだと驚きました。
一般的に、役所に行って、住民票などの証明書などにかかる時間よりは長時間になります。ただ、従来のように、転々とした本籍地まで赴く必要がなくなったことを考えると、この1時間は圧倒的に短時間であると思います。
この制度、全国の市町村をネットワークでつないでおり、はじまったばかりということもあるため、システムエラーで取得できない日もあるようです。徐々に改善はされていくと思いますが、注意が必要です。
この1時間という時間は私の例で、市町村によって、対応は変わってくると思います。この広域交付という制度を利用して戸籍の取得をする際は、時間に余裕をもって行ってほしいと思います。それでも、どこの市町村でも戸籍が取得できるというのは非常に便利になりました。ぜひ、機会があれば試してみてください。
執筆 司法書士法人ファミリア
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