2024.06.14

コラム第3回「おひとりさまでも安心 死後事務委任契約のススメ」



1 おひとりさま時代の到来!
 2020年の「国政調査」による家族類型の推移によると、「単身者」世帯の割合が「親と子供」世帯の割合を抜いて38.1%にまで上昇し、2050年にはなんと44%に達すると予測されています。つまり、全世帯の4割以上がおひとりさまという時代をもうすぐ迎えようとしているのです。


2 名古屋市で身寄りのない13人火葬せず最長3年超放置
 2022年、名古屋市で、身寄りなく死亡した13人の遺体が、最長3年4か月にわたって火葬されず放置されていた問題が発覚しました。身寄りがない場合、まず葬儀社に遺体を預け、相続人調査を行い、相続人全てに遺体を引き取る意思を確認するそうですが、その手続きに時間がかかっていたとのこと。
また、公費負担軽減のため、亡くなった方に少額でも預金があれば葬儀費用に充てるのが原則となっているため、金融機関から出金する手続きにも時間がかかっていたようです。
 こうしたニュースを目にすると、自分が亡くなった時、火葬もされずに放置されるのだけはイヤだと誰もが思うはずです。
しかし、身寄りのない単身高齢者にとって、何かあった時に「頼れる人がいない」のが現実なのです。
「病気やケガで動けなくなった時に、病院の付き添いや買い物を頼める人がいない」
「入院や施設に入所する時、身元保証を頼める人がいない」
「亡くなった後の葬儀や納骨、家財処分を頼める人がいない」などなど。
頼れる家族がいればあまり心配する必要のなかったこれらのことが、おひとりさまにとっては切実な悩みとなっているのです。


3 死後の手続き誰がやる?
 遺族として死後の手続きを経験した方ならお分かりだと思いますが、死後の事務は意外と多くて大変です。
・遺体を引き取る
・役所に死亡届を出す
・葬儀や火葬の手配をする
・親族・友人へ連絡をする
・納骨する
・医療費や介護施設利用料の精算をする
・賃貸物件の明け渡し手続きをする
・自宅や施設の片付け、家財処分をする
・携帯電話やインターネットの解約をする
・住民税や固定資産税の納税手続きをする
 これらの死後事務を任せられる親族がいない場合、役所がなんとかしてくれないのでしょうか?
 この点、身寄りのない方が亡くなった場合、役所は火葬まではしてくれるのですが、それ以上のことは何もしてくれません。名古屋市のように、火葬を長期間放置される危険性だってあります。自分が亡くなった後誰にも迷惑を掛けたくない方や、自分の希望する葬儀や埋葬方法(樹木葬、海洋散骨など)を実現させたい方は、次にお話する「死後事務委任契約」をぜひ結んでおきましょう。


4 自分のことは自分で決める
 元気なうちに死後事務委任契約を
 死後事務委任契約とは、死後の事務手続きを第三者に頼んでおく契約のことです。誰と契約するかは自由ですが、できれば司法書士や弁護士等の法律の専門家に依頼することをおすすめします。また、どんなに自分の希望を伝えておいても、その希望が確実に実行されなければ意味がありません。そのため、契約の際には、「見守り契約」とセットで契約することが一般的です。死後事務を任せた人と定期的に連絡を取り合うことで、心身の健康状態や生活状態を見守ってもらえるので、大きな安心感につながるはずです。
 死後事務委任契約を結ぶためには、自分のことを自分で決められること、そして、依頼する相手が信頼に足る人物かしっかり見極められるだけの判断能力が必要です。元気なうちに死後事務委任契約で備えておけば、これからの時代、おひとり暮らしでも安心して最後を迎えることができるのです。

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執筆 司法書士法人ファミリア
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